皮膚の微細構造解析アルゴリズムを開発

  • POST DATE : 2018.03.19

~指紋の第三次特徴による認証を世界で初めて実用化~

東京大学大学院情報学環セキュア情報化社会研究寄付講座グループ(以下 SiSOC TOKYOグループ)および株式会社ディー・ディー・エス(本社:愛知県名古屋市、代表取締役社長:三吉野 健滋、以下 DDS)は、このたび、指紋を高解像度で撮影することで得られる第三次特徴を利用する新しい解析アルゴリズムの開発に成功しました。

近年、指紋や顔などによる生体認証技術が普及していますが、偽造指による誤認識への対応や生体反応などの確認が求められています。従来の指紋認証技術では、指紋の第一次特徴である蹄状紋、渦状紋、弓状紋(*1)などの指紋の形状と、第二次特徴である指紋の隆線の分岐点や端点などの指紋特徴を用いた画像認識による指紋判定を行ってきました。しかし、従来手法による指紋認証方式を用いた場合、スマートフォンなど、大きさやコストに制限のある機器で用いられるような、小さく、コストの低い指紋センサーでは、誤認識が発生するケースがありました。

本研究では、従来の第一次および第二次特徴だけでなく、第三次特徴と呼ばれる汗孔(かんこう)(*2)などの指紋の隆線の微細構造を解析することで認証を行う高精度の認証アルゴリズムを実現しました。汗孔をはじめとする微細構造は、従来多く利用されてきた隆線の分岐点や端点などと呼ばれる指紋の特徴点と比べ、非常に多く存在します。小さな面積のセンサーであっても、高解像度で撮影し、微細構造を抽出することで、高精度で認識を行うことができます。

本研究は、SiSOC TOKYOグループ特任教授の梅崎太造とDDSとの産学連携研究として推進され、従来は難しかった皮膚の微細構造による解析により、指紋から本人性を抽出し、生体認証分野で認識率の高い個人認証方法を確立しました。

今後、より小さな指紋センサーへの対応、偽造攻撃への対策強化とともに、本手法を用いた指紋認証方式をスマートフォンメーカーなどへ提案していく予定です。

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◆用語の解説
*1 蹄状紋、渦状紋、弓状紋:
・蹄状紋:馬のひずめ(馬蹄形)に似ていることから蹄状と呼ばれる。日本人の約40%の指紋がこの形をしている。
・渦状紋:中心が渦巻いていることから渦状と呼ばれる。日本人の約50%の指紋がこの形をしている。
・弓状紋:弓の形に似ていることから弓状と呼ばれる。日本人の約10%がこの形をしている。
*2 汗孔(かんこう):汗が排出される出口のこと。

 

≪本件に関するお問い合わせ先≫
株式会社ディー・ディー・エス
Tel: 052-955-6600
E-mail: info@dds.co.jp

東京大学大学院情報学環セキュア情報化社会研究寄附講座
Tel: 03-5841-1902
E-mail: sisoc-sec@iii.u-tokyo.ac.jp

 

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